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大分地方裁判所 昭和62年(ワ)122号 判決 1990年7月16日

原告

小倉公二

被告

野田洋美

主文

一  反訴被告は、反訴原告に対し、四七〇万一四五三円及びこれに対する昭和六〇年三月一八日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

二  反訴原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用は、これを五分し、その一を反訴被告の、その余を反訴原告の負担とする。

四  この判決は、第一項にかぎり仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  反訴被告(以下「被告」という。)は、反訴原告(以下「原告」という。)に対し、金二八八五万八二六九円及びこれに対する昭和六〇年三月一八日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

3  1項につき仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二当事者の主張

一  請求原因

1  事故の発生

(一) 日時 昭和六〇年三月一八日午後六時三〇分ころ

(二) 場所 大分市萩原二丁目一二番一七号大分ベストサービス先(以下「本件交差点」という。)

(三) 加害車両 普通乗用自動車(大分五六ま七〇二八)

右運転者 被告

(四) 被害車両 普通乗用自動車(大分五六ち二八二九)

右運転者 原告

(五) 事故類型 出合頭の衝突

(以下「本件事故」という。)

2  責任原因

被告は、加害車両を所有し、これを自己のために運行の用に供していた者であり、また安全運転義務に違反してこれを運転したことにより、本件事故を惹起したものであるから、自賠法三条及び民法七〇九条の各規定に基づき、原告が本件事故によつて被つた損害につき賠償すべき責任がある。

3  受傷、治療経過及び後遺障害

(一) 受傷

原告は、本件事故により、頸部捻挫(根症状を伴う。)、腰部捻挫、左膝、左肘打撲の傷害を受けた。

(二) 治療経過

原告は、右傷害のため、次のとおり入、通院による治療を受けた。

(1) 丸井整形外科

通院 昭和六〇年三月一八日(本件事故日)から同月三〇日までの間に一二日

入院 昭和六〇年三月三一日から同年六月一二日まで七四日間

(2) 福光医院

入院 昭和六〇年六月一三日から同年八月一八日まで六七日間

通院 昭和六〇年八月一九日から昭和六一年二月四日までの間に六四日

(3) 大分県立病院

通院 昭和六〇年一〇月二八日、昭和六一年二月一四日及び同月一八日の三日

(以上の入院日数一四一日、通院実日数七九日)

(三) 後遺障害

(1) 原告は、本件事故による傷害について、その症状が昭和六一年二月一八日に固定したとの診断を受けた。

(2) 原告の後遺障害の傷病名は、外傷性頸部症候群であつて、その内容及び程度について、次のとおりの診断を受けた。

ア 頸椎運動制限及び疼痛

なお、運動制限としては、頸椎部について、前屈二〇度、後屈二〇度、右屈一〇度、左屈一〇度、右回旋二〇度、左回旋三〇度

イ 圧痛

大後頭神経、後頸部、肩甲上部

ウ 左肩、肘、手、手指の関節の運動制限及び運動時の疼痛

なお、関節部の運動制限は、頸椎部において伸展(他動)右三〇度(自動)右二〇度、屈曲(自、他動共)右二〇度、回旋(他動)右三〇度、左四五度(自動)右二〇度、左三〇度、側屈(他動)右二〇度、左二〇度(自動)右一〇度、左一〇度、肩関節部において(以下すべて左)、前挙(他動)一四〇度、(自動)一〇〇度、側挙(他動)一一〇度、(自動)八〇度、後挙(他動)五〇度、(自動)三〇度、肘関節部において、屈曲(他動)一二五度、(自動)一一〇度、手において、背屈(他動)九〇度、(自動)五五度、掌屈(他動)六五度、(自動)四〇度なお、握力、右三七キログラム、左九キログラム。

エ 左手、手指チアノーゼ及び冷感

(3) 右後遺障害について、自動車保険料算定会損害調査事務所は、自賠法施行令二条の別表(以下「後遺障害等級表」という。)一二級一二号に該当すると認定した。

4  損害 二八八五万八二六九円

(一) 治療費 二五六万六四一六円

前記の入・通院による治療費

(二) 入院雑費 一四万一〇〇〇円

日額一〇〇〇円として、前記入院日数(一四一日)分

(三) 休業損害 一八七万五一九六円

原告は、本件事故前から日本火災海上保険株式会社(以下「日本火災海上」という。)の保険代理店を経営(以下「本件営業」という。)して、現在に至つている。

本件営業による原告の収入は、代理店手数料によるものであるところ、その手数料収入の年度別実績は、別表の「収支明細表」欄の各該当年度部分記載のとおりである。右実績によれば、昭和六〇年度の手数料収入は前年度実績(六〇九万〇五七四円)の五割増しの額(九一三万五八六一円)となることが見込まれていたところ、本件事故のためその後一年間の実績は六四五万七〇〇九円に止る結果となつた。したがつて、右見込額(九一三万五八六一円)と本件事故後一年間の実績額(六四五万七〇〇九円)の差額(二六七万八八五二円)が、本件事故によつて減少した手数料収入額となる。また原告の取得率は約七割であるから、本件事故による原告の休業損害額は、右差額(二六七万八八五二円)の七割の額(一八七万五一九六円)となるものである。

(四) 運転手人件費 一〇七九万一七四〇円

(1) 本件営業には、原告が自動車を運転して活動することが必須のものであるところ、原告は本件事故による受傷のため、自動車の安全運転機能を喪失しので、右営業活動を継続、維持するために運転手を雇用せざるを得ず、これまでに給料として合計二九三万六〇〇〇円を支払つた。

(2) 今後五年間は、年間一八〇万円程度の給料を支払つて、運転手を雇用する必要性があるから、これを右期間に対応するホフマン係数(四・三六四三)によつて計算すると七八五万五七四〇円となる。

(五) 逸失利益 八一八万三九一七円

本件事故による逸失利益は、前記休業損害額として計算した額(一八七万五一九六円)を年額として五年間分と計算すべきである。右期間に対応するホフマン係数(四・三六四三)によつて計算すると、原告の逸失利益は、八一八万三九一七円となる。

(六) 慰謝料 四三〇万円

(1) 入、通院慰謝料 二〇〇万円

(2) 後遺障害慰謝料 二三〇万円

(七) 弁護士費用 一〇〇万円

原告は、原告訴訟代理人に本件訴訟を委任し、弁護士報酬として一〇〇万円の支払を約した。

よつて、原告は、被告に対し、本件事故による損害賠償として、右4記載の損害金の合計二八八五万八二六九円及びこれに対する本件事故日(昭和六〇年三月一八日)から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1の事実(本件事故の発生)は認める。

2  同2の事実(責任原因)は認める。

3  同3の事実中(二)の事実(治療経過)及び(三)のうち原告主張の後遺障害の傷病名の点及びその主張どおりの等級の認定がなされた点は認めるが、その余の事実は知らない。

4  同4の事実(損害)は争う。

三  抗弁

1  過失相殺

本件事故は、交差点内における出合頭の衝突事故であつて、原告の過失も競合して発生したものであり、その過失割合は被告九割、原告一割として、その損害額の算定において斟酌すべきである。

2  損害の填補 五〇二万九七二〇円

原告は、本件事故による損害について、次のとおりの金員の支払を得ている。

(一) 損害内払金 一六〇万円

(二) 丸井整形外科の治療費 一三三万九七二〇円

(三) 後遺障害第一二級一二号による保険金 二〇九万円

四  抗弁に対する認否

1  抗弁1の事実(過失相殺)は争う。

2  同2の事実(損害の填補)は認める。

第三証拠

証拠の関係は、本件記録中の書証目録及び証人等目録記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

一  請求原因1の事実(本件事故の発生)及び同2の事実(責任原因)並びに同3の(二)の事実(治療経過)は、いずれも当事者間に争いがなく、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる乙第五号証によると同3の(一)の事実(受傷)も認めることができる。

二  右事実によれば、被告は原告に対して、本件事故による損害を賠償すべき責任がある。

そこで、まず原告主張の治療費及び入院雑費について判断する。

1  治療費 一七七万五六八四円

証人福光高徳の証言及びこれにより真正に成立したものと認められる乙第一一号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる同第六号証、同第七号証の一ないし八、同第一二号証、同第一四号証に弁論の全趣旨を総合すると、原告は、前記入、通院による治療費を、次のとおりに負担したことが認められる。

(一)  丸井整形外科 一三三万九七二〇円

昭和六〇年三月一八日から昭和六〇年六月一二日までの分(乙第六号証)。

(二)  福光医院 四二万七六四四円

昭和六〇年六月一三日から同月三〇日までの分二八万五五八〇円(乙第一二号証)。

昭和六〇年七月一日から昭和六一年二月四日までの分一四万二〇六四円(乙第一一号証)。

(三)  大分県立病院 八三二〇円

通院三日分(乙第一四号証)

原告が以上の外に、治療費を負担したことを認めるべき証拠はない(なお、右乙第一一号証には、原告の治療費について、福光医院が国保連合に対して三二万九四四一円の支払を請求した旨の記載がなされているが、そのことのみから、右請求額が原告の負担に帰したものと推認することはできない。)。

2  入院雑費 一四万一〇〇〇円

当事者間に争いのない事実によれば、原告は合計一四一日間入院していたものであるから、入院雑費は日額一〇〇〇円として計一四万一〇〇〇円と認めるのが相当である。

三  休業損害及び運転手人件費の請求について判断する。原告の右各請求は、いずれも本件事故による受傷のための営業上の損害であるから、一括して検討する。

1  原告本人尋問(第一、二回)の結果に弁論の全趣旨を総合すると、次の事実が認められ、これに反する証拠はない。

(一)  原告は、昭和二一年六月二三日生れであつて、高等学校を卒業し、いくつかの職を経て、昭和四九年ころに生命保険会社に勤めたことから、保険業界に入つた。そして、昭和五五年二月に妻(いく子)とともに小倉総合保険の名称で、原告主張のとおり日本火災海上の保険代理店を始めて、現在に至つている。その収入は、顧客が支払つた保険料についての代理店手数料による収入である。

(二)  原告は、本件事故による傷害のため、入院(一四一日)及び通院(七九日)に費やされた二二〇日間、本件営業に従事できなかつた。

右事実によれば、本件事故によつて、原告に休業損害が生じたものと推認される。

原告は、まず、本件事故がなければ、昭和六〇年度の本件営業の手数料の収入額は、前年度のそれの五割増しの額を下回らなかつたはずであつたところ、右休業のため、右推定額を下回る結果に終つたとして、右推定額と現実の収入額との差額を休業損害として請求する。

ところで、交通事故の被害を受けた自営業者が、事故がなければ、業績の拡大などによつて収入の増加を得ていたのであろうことは、証拠に基づいて相当の確かさをもつて推定できなければならないものである(給与取得者の昇給見込みに関する最高裁昭和四一年(オ)第七八一号同四三年八月二七日第三小法廷判決・民集二二巻八号一七〇四頁参照)。

これを本件についてみるに、成立に争いのない甲第一号証の一ないし四、原告本人尋問の結果(第一回)により真正に成立したものと認められる乙第三号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる乙第一七号証によると、原告の本件営業による手数料収入が昭和五七年以降同五九年まで毎年増加していたことは認められるものの、五八年と五九年を比較するとその増加率は五割には遠く及ばないうえ、本件営業の性質上販路の拡大には自ら限度があると考えられることなどをも考慮すれば、昭和六〇年度において(本件事故がなければ)原告主張のように五割の増加率で手数料収入が見込まれたとはにわかに認めにくい。

そうすると、原告主張の右推定額は、その根拠が十分でないといわざるをえないから、本件休業損害額を算定する基礎とすることはできない。

2  次に、原告は、本件受傷のため、運転手を雇用し、これに要した(ないし将来要する)費用を損害として請求する。

なるほど、原告本人尋問の結果(第一、二回)並びに弁論の全趣旨によると、原告が、本件事故後、本件営業活動のため、知人等を自動車の運転手として雇い入れ、その給与を支払つていることは一応認められる。

しかし、原告の病状に鑑み、右雇入れが本来どの範囲で必要なのか、また原告主張の給与額が妥当なものであるのかどうかなど不明確な点が多く、本件事故と相当因果関係のある損害としての原告の出捐額を確定することが困難である。

3  そこで、本件においは、本件事故当時の原告の年収を基礎とし、前示原告の休業日数により按分した額をもつて、原告の休業損害として算定することにする。

(一)  まず原告の本件事故時の収入ないし取得について、本件に提出された証拠を検討する。

本件において、これらに関する資料として提出されている証拠(文書)は次のとおりである。

(1) 収支明細表

その記載内容は、原告主張(請求原因4の(三))のとおり。

(2) 代理店成績表(甲第四号証の一ないし四)

同表の手数料欄には、別表の「代理店成績表」欄記載のとおりに、各年度の原告の手数料額が記載されている。

(3) 納税申告書(甲第一号証の一、二、同第二号証の一ないし三、乙第一八、一九号証の各一ないし三、同第二〇号証の一、二)

同書には別表の「納税申告書」欄の各項目記載のとおりに、各対応する項目に金額が記載されている(なお別表<7>の部分は計算上のものである。)。

右各証拠を通覧して検討するに、右(1)及び(2)の各文書は、売上げ額から導き出されたものとして手数料額が記載され、右(3)の文書は所得額算出の基礎として、手数料額が収入額として記載されているものであるから、記載の趣旨、目的は同一ではないものの、その実体は本件営業によつて原告が取得した手数料であるから、数額に食い違いが生じるはずはないものである。ところが、その各記載は別表記載のとおりに、かなりの違いを示している。しかも、このような不一致が生じた理由について、原告は首肯できる説明をしない。また、右各文書作成の基礎となつた資料も明らかでない。

以上によれば、右三種の文書のいずれかのみを基礎として、原告の手数料収入額を確定することはできないものである。

以上要するに、原告の本件事故時の所得を実額で確定しうる確かな証拠は存しない。このような場合には、納税申告所得額及び反訴原告と同年齢の男子労働者の平均賃金のうち、より高額なものをもつて、損害額算定の基礎とするのが相当である。

(二)  原告は、本件事故時満三八歳(昭和二一年六月二三日生)であるから、賃金センサス昭和六〇年第一巻第一表産業計、企業規模計によれば、旧中・新高卒男子労働者(三五歳から三九歳)の年間給与額は四四四万五五〇〇円である。この額は、前示昭和五九年度の原告の申告所得額(二五五万〇四〇五円)の妻(いく子)への専従者給与額(七二万円)を加えた額(三二七万〇四〇五円)を超えるものであるから、右額(四四四万五五〇〇円)をもつて、損害額算定の基礎とする。(右の点は別表<7>の記載のとおり、昭和六〇年、同六一年及び同六三年をみても同じ。)。

原告の休業日数が二二〇日であることは、前示のとおりであるから、その休業損害は年間収入四四四万五五〇〇円の右休業日数(二二〇日)分の二六七万九四七九円となる。

四  逸失利益について判断する。

1  請求原因3の(三)の事実(後遺障害)中、後遺障害の傷病名及び原告の主張どおりの等級(一二級一二号)の認定がなされたことは、当事者間に争いがなく、その余の事実は、証人奥苑直行の証言及びこれによつて真正に成立したものと認められる乙第一号証(自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書)に弁論の全趣旨を総合することによつて、認めることができる。

2  前記認定の反訴原告の年齢、営業内容、後遺障害の内容及び程度等の諸事情に照らすと、反訴原告は、前記後遺障害により、昭和六一年二月一九日から少くとも五年間を通じて、労働能力の一四パーセントを喪失し、それに相応する割合による所得の減少を余儀なくされたものと認めるのが相当である。そして、前記認定の事実に鑑みると、右稼働低下による逸失利算定の基礎となる得べかりし所得も、前記の年額四四四万五五〇〇円(平均賃金額)をもつて相当と認める。

したがつて、右期間に相応するホフマン係数(四・三六四三七)によつて、これを計算すると二七一万六二五二円となる。

五  慰謝料について

本件事故によつて、原告が受けた傷害の部位、程度、入、通院期間、後遺障害の内容、程度その他諸般の事情に照らせば、その精神的苦痛に対する慰謝料は、三〇〇万円をもつて相当と認める。

以上の二ないし五において算定した損害の合計額は一〇三一万二四一五円となる。

六  抗弁について判断する。

1  過失相殺

当事者間に争いのない事実、いずれも成立に争いのない甲第三号証の一ないし六、同第一六、一七号証に弁論の全趣旨を総合すると、本件事故の発生について、次の事実が認められ、この認定に反する証拠はない。

(一)  被告は、本件交差点を萩原一丁目から西ノ洲方面に進行するについて、進路には一時停止の道路標識が設置され左右の見通しも困難であつたのであるから、同交差点の直前で一時停止し、左右道路の安全を確認して進行すべき注意義務があるのに、これらを怠り、時速三〇キロメートルで進行したため、原告の車の右前角に自車左前部を衝突させた。

(二)  原告は、萩原緑町から新貝方面に向けて本件交差点を進行するについて、他の自動車の有無及びその動静について注意を払い適宜減速するなどして衝突事故の発生を未然に防止すべきところ、これを怠り、減速することなく時速四〇キロメートルの速度で進行したため、交差点の手前一七、八メートルの地点で被告車を発見して、急制動の措置をとつたが、間に合わず本件事故の発生となつた。

右事実及び成立に争いのない甲第一三号証(示談書)によつて認められる、本件事故による物損について、原告及び被告は責任割合を一割対九割とした上でその解決をした事実を考慮すると、原告の過失割合は一割とみて、過失相殺をするのが相当である。

右によれば、原告の損害額は、九二八万一一七三円となる。

2  損害の填補

当事者間の争いがない。

これによれば、前記損害額の残額は、四二五万一四五三円となる。

七  弁護士費用について

原告が、本件訴訟の提起、遂行を訴訟代理人である三井弁護士に委任し、報酬を支払う旨の約束をしていることは、弁論の全趣旨により明らかであり、本件事案の内容、審理経過、認容額等に鑑み、被告に負担させるべき弁護士費用の額は、四五万円が相当と認める。

八  結論

以上によれば、原告の本訴請求は、被告に対して、四七〇万一四五三円及びこれに対する本件事故日(昭和六〇年三月一八日)から支払ずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから認容し、その余の請求は理由がないから棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条を、仮執行の宣言について同法一九六条を、各適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 柴田和夫 楠本新 山本和人)

(別表)

<省略>

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